スマリヤン

霊やあの世の問題と宗教の関わりで思い出したが、論理学者のスマリヤンがどこかで
次のようなことを書いていた。

仮に霊魂や死後の世界があったとしても、必然的に神が存在するとは限らない。

逆に神が存在するとしても、必然的に霊魂や死後の世界が存在するとも限らない。
(その場合、神は何のために存在しているのか?という疑問もあるが)

論理的には確かにそうだ。そして東洋人である我々は、霊魂や死後の世界と、神の存在の問題を必ずしも結びつけて考えはしないだろう。

しかし、霊魂やあの世というものが仮にあったとし、しかもそれらを何らかの目的のもとに作った創造神のようなものを考えない場合、魂やあの世というものの超自然的なものもまた、観察されうる物理的な宇宙と同じく、「ただ、そのようにある」としか云えない端的な事実として処理されるものになりはすまいか。特に意味も目的もなく、ただそうなっているからそうだというような。それはひとつの世界の構造であって、それ以上でも以下でもないというような。

死後の世界というようなものがあってさえ、それ自体は意味も目的もない世界の一構造であるという想像は何かうすら寒い感じを覚える。

私は仏教のことはぜんぜん知らないのだが、仏教的な世界観とはこういうものなのかもしれない。それにたいしてキリスト教は朔太郎が言うようにロマンチックな宗教であり、本質的にオプティミステッィクだと思う。